私の主張
ホラーが大好きだ。
ホラーはエンターテイメント。
恐怖を感じたいという願望は人間にしか持てないもの。
さあ、ホラーを楽しもう。
スティーブン・キングについては小説を読まなくても、作品が映画化されまくっているので知っている人は多いのではないでしょうか。
最近だと「IT」(2019年公開)ですね。
実は日本でヒットして知名度のある映画は「ショーシャンクの空に」とか「グリーンマイル」とか「スタンド・バイ・ミー」などホラーではないものがほとんどだったりします。
今回はホラー大好きで、スティーブン・キング小説マニアを自負するわたしがオススメの12作品を紹介していきます。
はじめに:スティーブン・キングのホラーについて
スティーブン・キングのホラーは人間の心の弱さにフォーカスがあてられているのが特徴です。
これでもかというくらい登場人物たちの心理描写が作品全体を通して書き込まれています。
極限の状況に追い込まれている
現状に満足できない、逃避したい
悲劇や過ちをなかったことにしたい
特別な感性や能力を持ったがゆえに孤立
こういったシチュエーションで人はどのような選択をどんな理由でするのか。
どのように問題に対処し、行動するのか。
ホラーといっても単に怖い現象を描いているわけではないのです。
スプラッターのようなショッキングな怖さを求める人にはあまり面白いと思ってもらえないかもしれません。逆に人間心理に興味のある人はかなり楽しめるはず。
何といっても世の中でいちばん恐ろしいのは人間ですからね…
1.クリスティーン
青春モノ。ニキビ面でコンプレックスのかたまりの気の弱い少年が主人公です。
ある日、近所のガラの悪いオジサンが所有しているクリスティーンという車に魅せられてしまう。
そのオジサンの死後にクリスティーンを譲り受けてから、少年はどんどん人格が変わっていく。
小説は相当怖かったんですが、映画版を見たらずっこけるぐらい怖くなかったです。というか呪われた車のクリスティーンがコメディのような動きをしていて笑ってしまいました。
2.クージョ
狂犬病にかかったセントバーナード犬”クージョ”が襲ってきて車の中に閉じ込められた母親ドナと幼い息子タッド。その車は故障していて動かせない。逃げられない。
助けを呼ぼうにも人がみあたらない。携帯電話もない時代のことです。
炎天下、ひどい暑さにさらされながら車の外に出るに出られず長時間をすごさなければならない極限状況。
脱水症状におちいり気を失いそうになりながら、車に座りクージョとにらみあいを続けるドナと弱っていくタッド。
それと並行してクージョの飼い主一家の複雑な事情や、ドナと夫の不安定な関係と浮気について克明に描写されています。
3.シャイニング
昔アル中の父親(ホテルマン)が双子の娘や妻を惨殺するという事件があったホテル。
そのホテルに冬の間管理人として住み込みのアルバイトをする決心をした小説家志望のジャック(元アル中)。
若く美しい妻と、霊感のある小さな息子とともにホテルに移り住んでから、様々な怪奇現象がおこりはじめる…
珍しく、映画版の方が怖いと思った作品です。やはりジャック・ニコルソンの鬼気迫る演技力のせいでしょうか。
しかしスティーブン・キングは映画版には不満と報道されていましたね。わたしは原作にかなり忠実に制作されていると思いました。
ホテルと幽霊の組み合わせはホラーでは鉄板ですよね。
4.ランゴリアーズ
飛行機に乗っていたら眠くなったので寝た。目覚めたら大半の乗客やフライトアテンダント、操縦士が消えていた。残っているのは癖のあるキャラの11名。
今どこを飛んでいるの…どこへ行くの…
これはアメリカでTVドラマが制作されて日本でも放送されたようです。Youtubeにひっそりとあがっていましたので、興味のある方はどうぞ↓(たぶん期間限定じゃないかと)
https://www.youtube.com/watch?v=c8q15upG5pw&t=175s
ちらっと見た感じだと小説のほうが絶対よさげです。
5. ゴールデンボーイ
短編と長編の間、中編?の物語です。
ルックスもよく頭もいい13歳の品行方正な少年トッド。ある日もとナチスのメンバーで、アウシュビッツ強制収容所の副所長だったこともある老人が近所に住んでいるのを発見する。
ところがトッドはその事を両親にも友人にも言わず、警察に通報もしない。
そのかわり老人の家を足繁く訪ねて、戦争時代の話を無理に聞き出すという不思議な行動にでる。
学校でも家でも何の問題もおこさず、誰もトッドに異常さや危険を感じていなかったが、実際は戦争犯罪に魅せられているという狂気を隠し持っていた。
正気と狂気の境界線をいったり来たりするトッドの言動や思考に恐怖を感じてドン引きです。
少年の凶悪犯罪について家庭環境に問題がある場合も多いですが、この小説を読んでいると「生まれつき悪を持っている」ということがあるかもと思わせられたりします。
6.神々のワードプロセッサ
スケルトン・クルーという短編集の中の話。これは30ページぐらいのモノなので詳しいあらすじを書くのはやめておきます。
神の役割を果たすワードプロセッサを偶然手に入れてしまった主人公。
そのワードプロセッサを使って自分の人生を書き換えようと試みる。
「もしあの時、こうしていたら…」
「あの時、これじゃなくあれを選んでいたら…」
と過去の行動や選択を後悔したことのある人なら前のめりで読んでしまうこと請けあいです。もちろんホラーなのでドキドキハラハラ要素も満載です。
7.デッドゾーン
かなり昔に読んだのでうろ覚えではあるんですが、とにかく悲しい話でした。
交通事故で数年間意識をうしなっていた主人公の青年ジョニーが、意識を取り戻してから辛いことばかり起こるんです。
予知能力という特殊な力を持ってしまったためにどんどん不幸になっていくのがかわいそうでした。
ストーリーの後半にでてくる狂信的な政治家のグレッグをトランプ大統領にたとえているアマゾンレビューがありますが、それは言い過ぎってもんでしょう…と個人的には思います。
危険人物のグレッグが将来大統領になると予知してしまったジョニーは悲壮な決意をする。
自分に何の希望も見いだせなくて、絶望感を抱えたままエンディングに向けて突っ走るジョニーが痛々しくて最後は泣いてしまいましたね。
余談ですが、映画版で主役をつとめているクリストファー・ウォーケンがかっこいいらしいです。(わたしは見ていません)
8.ファイアスターター
これはホラーというよりSFのカテゴリーに入ってしまう話ですが、スティーブン・キングなので「ホラー系SF」として勝手ながら取り上げます!
なんせ名作ですよこの小説はヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。
念じるだけで火をつけることができる少女チャーリー。父親は若いころ得体のしれない新薬の実験で薬物を投入されてから「押す」力を持っている。「押す」というのは人間の無意識下にはたらきかけて自分の思い通りに動かすといった力のことです。
それを利用して父親はカウンセラーとして成功していました。
結局はこの父娘も特殊な能力を有した代償として悲劇の連続にみまわれることになります。国家権力に目をつけられて追い回されるんですね。
映画版「炎の少女チャーリー」で少女チャーリーを演じたのはドリュー・バリモアです。デビュー作の「E.T」ではまだ4歳ぐらいだったと思うのですが、名子役として全世界に認められました。
この作品でもその演技力が発揮されていてすばらしい出来です。
9.ミザリー
これは一種のストーカー話になるのでしょうか。
主役のポールは人気小説家。ある日車に乗っていて事故に会い、気がつくと知らない女性の家で手厚く介抱されていた。
大怪我をしていて動けず、強い痛み止めなしでは耐えられない状況。
その女性は偶然にもポールの小説の大ファンで、特にお気に入りのロマンス小説の続きを楽しみにしていた。
ところがポールはロマンス小説を書くのに飽き飽きしていて、話を完結させて別の小説にとりかかろうとしていたのです。
で、女性はちょっとイッてしまってる人なんで怒り狂ってロマンス小説の続きを書けとポールを脅すという…書かなければ痛み止めあげないわよっ!みたいな。
映画版ミザリーでは主役を演じたキャシー・ベイツが鬼気迫る演技ですごかった。ホントウに最後まで手に汗を握る展開の話です。
10.ペット・セメタリー
愛するものを恐ろしい呪いの力であっても蘇らせたい、という主人公のエゴがこれでもかというくらい描かれています。
呪いの力で死んでから蘇った猫や主人公の息子があまりにもオドロオドロしく、生々しく気味の悪い存在で読後感はあまりよくありませんでした。
強く感じたのは恐怖よりも主人公への嫌悪感ですね。それは自分の中にも同じようなエゴがあるからなんだろうと思います。
11.キャリー
学校でも家でもいじめまくられたキャリーがどうなるか。
キャリーの反撃がすざましすぎて、もう笑えるレベルです。
よくいじめが原因で自殺したニュースが話題になった時に
「日本は島国でいまだに村社会の名残があり、陰湿ないじめが…」
という論調がありますが、この「キャリー」を読んでみてほしいですね。アメリカでのいじめがどれ程すざましいことか!
この「キャリー」のいじめ場面は誇張されているわけではなく現実こんなもんですよ。
ちなみにアメリカに滞在時、たしか1998年頃にリバイバル上映された映画「キャリー」を見に行ってとんでもない体験をしました。
キャリーが学校のシャワールームでシャワーをあびて裸で突っ立っている時に、他の女子生徒がいっせいに生理用ナプキンやタンポンを投げつける、という場面があります。
ある意味イジメがピークに達した瞬間でもあるのですが、なんとここでアメリカ人の観客がみんな大爆笑して「いいぞー!ひゅー!」みたいな掛け声も多数あがったんです。
「よっ、待ってました!」みたいな感じで。
ピュアな(?)日本人的マインドで「かわいそうに…キャリー」という感じでみていたわたしには衝撃でした。
12.とうもろこし畑の子供たち
これはホントウに読んだ時ゾクッとしました。いちおう短編なので、あらすじは語りたくないのですが…
アメリカのど田舎を想像してみてください。この小説の舞台はネブラスカ州です。草原や砂丘、牧場、農場、そしてとうもろこし畑なんかが延々と広がっているところ。
子供しか住んでいない、とうもろこし畑のエリアに迷い込んだ夫婦が戦慄の体験をする。子どもたちが営む謎の儀式。謎の殺人。謎のマントラ…
映画版「チルドレン・オブ・ザ・コーン」も怖いと評判でした。DVDは絶版で日本語での視聴は難しいと思いますが、英語版ならYoutubeにひっそりとあがっています…日本語で原作を読んでから英語版の映画を視聴するっていうのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=vUiHTSaHvKM
最後に:絶版が多いスティーブン・キングの名作ホラー小説
ということでスティーブン・キングのホラー小説オススメ12選でした。
1から12まで順番をつけていますが、ランキングというわけではなく好きな順番でもありません。(笑)
どの作品も怖くて悲しくてハラハラさせられて大好きなんです。
もしスティーブン・キングを読んだことがない、とかホラーなんて何が面白いの?という人に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです!
しかし問題があります。最近はどの作家の作品でもありがちなんですが、名作であってもすぐに絶版になるということです。
今回紹介した小説も、現在古本でしか手に入らないものがありました。しかもとんでもない高額で販売されていたりします。
とはいえ絶版になってもリニューアルカバーでまた販売されるケースもありますし、アマゾンで検索していると本は絶版でもKindleで読める電子書籍として販売されている小説もあります。
個人的にKindleでの読書はあまり好きではないのですが、どうしても入手が難しい本については利用してもいいかもしれませんね。
あと、何ならスティーブン・キングを原書で読むのもいいもんですよ。頑張って英語の勉強をしてホラー小説を楽しみましょう!