英語学習

英語多読の落とし穴 【英語で童話とか民話を読んでも眠いだけの件】

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英語学習では多読がいいよ、とよく言われていますが何を読めばいいのかわからない。

はりきって挑戦したのはいいけど、読み通せなくて挫折した。

英語で楽しく読書するなんて可能なのかな?

本記事ではそんな疑問に答えるために、自分の体験をもとに考察してみました。

わたしはアメリカの大学に留学前に英語で本を読もうと何度かチャレンジして挫折した経験があります。

自分の英語力がショボいという自覚があったのでネイティブが読む洋書ではなくトライしたのは↓のようなものです。

・学習者用に書かれた「やさしい」リーディング本

・ネイティブの幼児向けの「やさしい」本

ところが最初の1ページぐらいで続けられず、ダメでした。

落ち込みました。アメリカの大学の授業で課されるリーディングなんて難しくてゼッタイ無理だと思いました。

あっというまに落第して帰国しないといけなくなるのではないかと恐怖を感じましたね。

実際にはアメリカの短大に正規入学してはじめてクラスで数冊の小説が課題になったとき、意外なほど苦痛なく読み通すことができました。

むしろ「英語で小説を読む」という体験は想像以上に楽しいものでした。

なぜ留学前に英語で読書ができなかったのに留学したらできたのか

当時のわたしにはわからなかったのですが、ようは

英語で読書するには本選びが全てだということです

そしてこれを言うのは心苦しいんですが…

英語学習サイトなどでよく「洋書オススメ○選」といった記事があり、本が紹介されていますよね。それらの本の中から自分にあっていそうな本を選ぶ…という手順を踏むと失敗するかもしれません。

もちろんオススメされている本からピックアップして読んでみたら楽しく読めた、という人もいるでしょうから「オススメ洋書」関連の情報を全否定するつもりはありません。

しかしながらオススメ洋書のラインナップをみると、たいてい児童書やレベル別に編成されているラダーシリーズやペンギンブックス、もしくはティーンエイジャー向けの小説だったりするんですよね。

ぶっちゃけ大人の英語学習者が英語版「赤ずきんちゃん」とか読んで楽しいのか?と思ってしまうんです。

「赤ずきんちゃん」でなくても「ピーターパン」であれ「チャーリーとチョコレート工場」であれ大人が読むには退屈ではないですか?(私だけでしょうか)

絵本や児童書が死ぬほど好きで、日本語でもよく読んでいる人なら英語でも楽しく読めるかもしれません。とはいえ一般的な大人だとやはり成人向けの本でなければ続かないのが普通です。

まず自分のレベルにあった簡単な本から始めなければいけないという思い込みを捨てよう

英語多読の学習法でよく解説されているのが、自分にあったレベルの易しい本から読み始めて、段階的にレベルアップしていきましょう、ということです。

日本語だって最初は絵本から読みはじめ、次に児童書が読めるようになったはずだから英語も同じ手順でないといけない、とか。

いっけん正しい理論に思われるんですが…ちょっと待ってください。何か違和感ありませんか。

大人はふつう論理的思考力や一般教養のバックグラウンドを持っていますよね。

つまり文脈を考えながら、自分の知識を使いながら文章の内容を理解することができます。

それは子供にはまだ無理なことです。

絵本や学習者向けに簡単に書かれた童話や民話を読むときには、論理的思考力や文脈を読む力は必要なく、大人の知的好奇心を満たしてくれません。

だから読んでいて楽しくありません。というか退屈で眠くなってしまいます。

英語力がまだ高くなくても、成人むけの自分が本当に読みたいと思う本にチャレンジしたほうが成功する可能性があるんです。

洋書なんて難しくて読めないと決めつけないで、華麗にトライしてみよう

コツとしては

不明な単語や複雑な文章にこだわらない。いちいち辞書や文法書を調べたりしないことです。

語彙については、1ページにつき意味のわからない単語がいくつもあるはず。

これは英検1級、TOEIC満点レベルの人でも同じです。

洋書を辞書なしで読むには辞書を1冊丸暗記(3万から5万語)できているぐらいの語彙がないと無理ですから。

何なら辞書なしでガンガン読んでいくのもいいですが、あまりにも意味不明な単語ばかりだとさすがに文脈から推測するのも難しくなるでしょう。

全ての不明単語を辞書で調べながら読んでいくのは苦行になるので、1ページにつき3から5単語ぐらいまでにするのがオススメです。

ここがポイント

一言一句にこだわり、完璧に理解しようとする姿勢は外国語学習において大切だといえます。

でもその姿勢は読書で情報を得たり、芸術作品を楽しもうという気持ちにブレーキをかけてしまうんですね。

洋書を挫折せず読み通すにあたっては、いったんその「完璧主義」を横においておきましょう。

ノンフィクション、ビジネス、自己啓発、小説など自分が興味のある分野から「本当に読みたい」本を選んでください。

自分の英語力じゃまだまだ無理だ、と最初からあきらめないでほしいです。

やさしく簡単に書かれた内容の薄い本より、きっと楽しめるはずですから。

わたしの読書体験【長文なので興味のある人だけ読んでください】

アメリカの大学で履修したCollege Reading and Analysis という科目で初めて小説を完読しました。

これが本当に楽しかったし、大きな喜びだったんです。

このクラスはふだん本をあまり読まない、国語力に自信がないアメリカ人向けの内容でした。

通常アメリカの大学では1回生、2回生でWritten Expressionという「アカデミックな論文や本を読み、それをもとに論理的に自分の見解をレポートで書く」ためのクラスが必修になっています。

College Reading and AnalysisはこのWritten Expressionをいきなり取って落第するのを避けるため、その前段階として準備するためのクラスという位置づけでした。

Written Expressionは留学生にはかなり難しいので、先にこのCollege Readingからはじめるようにとアドバイザーに言われて履修することにしたんです。

このクラスで読むように指定された小説の1冊目が

The House on Mango Street By Sandra Cisneros

でした。約100ページという短い小説で、主人公のエスペランサというメキシコ系アメリカ人の少女が日常をいきいきと描写しています。

ラテン系アメリカ人が集まる地域で暮らすエスペランサは自分の周りにいるひとたち、たとえば未来を予想する近所の占い師、靴をはいていない子どもたち、英語を話せないと主張する人、ボーイフレンドと会っていた娘をボコボコにする父親など冷静に観察しています。

そして将来は強い女性になって住んでいるマンゴー・ストリートから脱出し、自分の理想の家に住むことを決意するのです。

少女の視点からシンプルに書かれているため読みやすい、というのはもちろんありますがなんと言ってもすばらしいのが著者の書く英文のリズム。(ポエティックと論評されています)

特に音読が好きでなくても声に出して読んでみようと思ってしまうくらい素敵です。

「Hair」という家族の髪の毛について書かれている章から、母親の髪について語っている英文の抜粋を読んでみて下さい。↓

But my mother’s hair, my mother’s hair, like little rosettes, like little candy circles all curly and pretty because she pinned it in pincurls all day, sweet to put your nose into when she is holding you, holding you and you feel safe, is the warm smell of bread before you bake it…

The House on Mango Street   

Hairs

エスペランサの母親がちいさなバラ飾りのような、キャンディのうず巻き模様のような、くるくるカールの髪にピンをいっぱい留めている姿が目に浮かびませんか。

母親に抱きしめられたエスペランサが、安心しきってそのくるくるカールの髪に顔をうずめ、パンを焼くまえの温かい匂いをすいこんでいる様子を感じますよね。

声に出してここちよい音楽のような文章があるのをこのとき初めて知りました。

そして、このクラスで読んだ2冊めの小説はテーマがかなり重苦しいものでしたが、同じく文章がリズミカルで心地よいものだったんです。

Krik Krak by Edwidge Danticat

これはAmazonの商品ページで少し中身を読むことができます。少しだけ引用しますね。 ↓

They say behind the mountains are more mountains. Now I know it’s true.

I also know there are timeless waters, endless seas, and lots of people in this world whose names don’t matter to anyone but themselves. I look up at the sky and I see you there. I see you crying like a crushed snail, the way you cried when I helped you pull out your first loose tooth. Yes, I did love you then.

…I don’t know how long we’ll be at sea. There are thirty-six other deserting souls on this little boat with me. White sheets with bright red spots float as our sail.

Krik Krak  第一章 Children of the sea より

引用したのは冒頭の部分ですが、はじめは語っている人が男なのか女なのか何歳ぐらいで、どこにいるのかなど全くわかりません。

でも読み進めていくうちに暗い海の上に浮かぶ小さなボートにぎゅうぎゅうに人が乗っていて、その中で語り手も静かに座っているイメージが頭の中に映し出されてきます。

こういった小説を読む時は

They say behind the mountains are more mountains.

山のむこうにもっとたくさんの山があるって何だよ

とか

I also know there are timeless waters, endless seas, and lots of people in this world whose names don’t matter to anyone but themselves.

タイムレス・ウォーター?終わりのない海?自分たち以外にとっては意味のない名前の人がたくさん??

などと逐一ツッコミを入れたりしてはいけません。

話を読み終えるまでに少しずつ”ああ、そういうことか”とわかってくることが多いです。

あくまで語り手が作り出す世界観を受け入れるつもりで、イメージを捉えつつ読み進めていくのがコツです。

そして3冊めの本ですが、わたしはこれを読んで号泣したことが忘れられません。

A Lesson before dying by Ernest J. Gaines

感動して泣いたというより、話の理不尽さに腹が立って悔しくて涙がでてきたという感じでした。

その時に「ああ、わたしは英語で小説を読んで感情移入して泣けてるんだ」と思った記憶があります。

留学前には学習者むけの簡単な本すら途中で放り出していたのに、ネイティブスピーカーのクラスメイトたちと同じ小説をちゃんと読めてることに驚きました。

おそらく読んだ小説の全文を完璧に理解できていた訳ではないと思いますが、それは問題ではないんです。

読書の本質とは、小説ならストーリーに、ノンフィクションなら情報に感情を揺すぶられることではないでしょうか。

そういった体験をするためにも、子供向けの絵本や学習者むけの童話などより、成人向けの洋書にトライしてみることをぜひオススメします。

 

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