2018年に、職業訓練校のWebオペレーター科(期間3ヶ月)というのを約5週間受講しました。
記憶が薄れてしまわないうちに、実際どんな感じだったのかリアルな感想を書いていこうと思います。
今後、受講を検討する人たちの参考になれば嬉しいです。
結論:時間の無駄です
実は受講する前もさんざん、ネット上で評判を確認したんですよね。
「全く意味ない」という人もいれば、
「職業訓練のおかげでWebデザイナーとして転職できました!」みたいな人もいる。どっちだろう?
職業訓練に肯定的な意見の人たちが、共通して主張していたのは
・職業訓練を活かすも活かさないも本人の心がけ次第
ということです。
「そうか…やっぱりそうだよな、ヤル気があってガッツリ勉強する気があれば職業訓練でもスキルは身につくはず」
と真面目な(!?)わたしは納得しました。
それでも民間委託されている3ヶ月の訓練なので、実務的なスキルが本当に身につくかどうか怪しいもんだとも、少しは思ってましたが。
そんな複雑な気持ちで選考テストと面接を受け、合格通知をもらい受講をスタートしました。
そして、1週間もしないうちにわかりましたね。
受講生のモチベーションが高くてヤル気マンマンでも、これじゃ時間のムダだな。
家で自分でテキスト片手に自習したほうがマシだな。
…と(-_-;)
理由を説明していきますね。
講師のレベルが低い
はい、もうこれにつきますね。現役のWebデザイナー兼ディレクターということでしたが、はたして本当かどうか…(・。・;
始業式の日に、イラストレーターやフォトショップ、Web制作関連のテキストを5冊ぐらい購入させられたんですよ。トータル1万円ぐらいしました。それを授業で、順番に生徒に読ませていくんです。
「はい、では✕ページからAさん、読んで下さい」
指示通り音読するAさん。1ページぐらい読み終えると講師が
「はい、そこまで。では続きをBさん」と次の人を指名。
もう私の心の中は、この時点でクエスチョンマークでいっぱいです。
1チャプターぐらい読み終わると、講師が
「えー、では今読んだところを皆さん、自分のPCでやっていってください」とな。
いちいち小学校の国語の授業みたいに、生徒に読ませずに、とっとと各自でテキスト読んで演習させろよ💢💢
とフツー思いますよね??
テキストを音読しただけで、いきなり練習問題とか演習をやったとしても当然うまくはできません。そんな時に質問できるのが、学校のいいところのはず。
イラストレーターというソフトの使い方の授業でのことです。線や曲線がちゃんと描けない、何でだ?こうかな、いや、違うっ、よけいオカシクなった、どうなってるの???そうだ、助けてもらおう!
とPCから顔をあげると、講師はひとりの生徒のそばでずーっと質問に答えている。
私や他の生徒は、イライラしながら講師の手の空くのを待っている。
2名のアシスタントは、受講しているコースの卒業生で、訓練終了後にそのままアルバイトしているような頼りない存在。
それでも、他に聞けるひとがいないのでアシスタントに質問してみました。すると
「んー、こうかなっ!あ、違う。こうだったっけ…?あれ?」と悪戦苦闘している。
問題が解決しないってのに、講師の「では、みなさんそろそろ次へ進みましょう」という声がする。
えーっ!まだ全然できてませんけど!という受講生達のつぶやきを察知したのか講師は
「わからないところは、放課後聞いてくださいねー。」とにこやかに宣言。
しかし放課後に残ったところで、講師は結局ひとりふたりの生徒の面倒を見るのでいっぱいいっぱいでした。時間は1時間しかなく、PCに不慣れな生徒さんだと、ひとつの動作すら自分でできませんから。
アシスタントも1名残っていましたが、その人も他の生徒がいちど捕まえたら離さない。質問したくて残ってるのに、そのスキがないままに終了時間になります。
近くの席に座っている人たちと、「わからないところ質問できないねぇ」とブツブツ文句を言っていました。
そんな毎日、想像してみて下さい。
ちなみに受講生は35名で、担当講師が1名、アシスタントが2名でした。
受講生のほとんどが初心者ということから考えても、「まともな」講師と「スキルのある」アシスタントが全く足りていません。
謎の掃除当番と、毎日のスピーチ
掃除当番は、まさに小学校や中学校でやったアレです。放課後に4~5人の当番制で机を拭いたりゴミ捨てしたり床を掃いたり。その後、約1時間ぐらい残って自習してもいいことになっていました。
スピーチは毎日、朝と昼休みに1人ずつ3分ぐらい、みんなの前でやらされるんです。毎週、以下のようなトピックを講師から与えられます。
・将来のキャリアパスについて
・これまでの職業経験を今後どういかすか
1日2名で、学校は週5日ありますから3週間に1回は自分の番が回ってきます。
これは、ネットで職業訓練に参加したことがある人の体験談を読んでみると、全国共通のようですね。
ハローワークを管轄しているのは厚生労働省。
おそらく厚生労働省の役人が、ハローワークに厳命しているはずです。
「職業訓練生には必ず、毎日スピーチをさせて社会性を身につけさせろ。掃除当番もさせて、身分をわきまえ、訓練してもらえることを感謝させるように。」と。
あくまで推測ですけどね(゚∀゚)
上から目線なお役人が考えそうじゃないですか。
別に教室の掃除ぐらいしてもいいんですよ。まともな職業訓練の場を与えてもらえるなら、言われなくても感謝しますし。
それにスピーチも、会社でプレゼンが必要な業務を担当した場合、慣れておいたほうがいいという理屈もわかります。
でも学校では質が低い、意味のない授業を「アリバイ作り」のためにやっているだけで、まともに職業訓練して就職させようという気が全くないんですよ?
わたしから言わせてもらえば「不自由な自習」にすぎない、内容のうっすーい「職業訓練」。それなのに朝のスピーチ、毎時間「起立!礼!」の号令、昼のスピーチ、放課後の掃除当番と、お上から「従順な訓練生の役割」を押し付けられる。
働いている時に収めている雇用保険が、こんなクダラナイ「厚生労働省のおままごと」に使われてるなんてショックでした。
ちょっと過敏に反応しすぎでしょうか。
感じ方はそれぞれ違うんだろうと思います。人によっては、
「まぁ、掃除当番!なつかしい💗」
「うん、やっぱり教師には礼をつくさないとな」
「頑張ってスピーチでほめてもらうぞー(≧▽≦)」
みたいにポシティブモード全開で楽しめるかもしれません。
でもね、繰り返しになりますが私だって訓練内容がまっとうなモノだったら、こういうのもサラッと流せたはず。
私は5週間でWebデザインとは全く関係のない、派遣での仕様書翻訳という仕事が決まったため、退校しました。いちおう通っていた5週間は、ちゃんとスピーチや掃除当番も文句を言わずにやりましたよ。
とにかく、何でもいいから就職させたがる
何でもいいから、ですよ!
職業訓練を行っている学校は、とにかく就職率を上げることだけを考えています。というのも国から貰う運営資金の額にもかかわってくるし、就職率が低すぎると次から職業訓練を担当させてもらえなくなるからです。
だから受講生が本当にWebのスキルを身につけて、Web関係の仕事に転職することに全く興味がありません。
どこでもいいから就職(アルバイト、派遣、契約、何でもいい)してほしいのがホンネ。
Web関係でなくてもいいんです。コンビニやスーパーのレジのアルバイトでもOK。
私はたまたま1ヶ月ぐらいで派遣会社から仕事を紹介されたので、嬉しさに小躍りしながら♪学校を退校したんですよね。
受講生の中で、仕事が決まった第1号でした。
学校側も大喜びで、いそいそと私の退校手続きを進めてくれました。
学校で仲良くなった人と、3ヶ月後ぐらいに会って食事をしたら、私のあと次々に5人ぐらいが仕事が決まった訳ではなく、ただ辞めてしまったそうです。そして最後まで訓練を終了した30名弱の中で、Webデザイン関連の仕事についた人はゼロだったとか。(゜o゜;
就職支援という不毛なカリキュラム
これも厚生労働省とハローワークが結託して考えた押しつけ教育。(たぶん)
何も知らないニートに就職、転職活動の基礎を叩き込んでやれ!!といわんばかりの内容です。
受講生の年齢層は幅広く、20代前半から60代までいました。
履歴書の書き方、職務経歴書の書き方、面接の受け方…確かに知らない人もいるかもしれない。でもこんなのせいぜい1~2時間ぐらいでいいのでは?
ところが2日間ぐらいは、こういった就活の基本の基本に割かれていました。
そして他にもグループワーク、ペアワークでお互い自己紹介しあったり、与えられたテーマでディスカッションしたりも。コミュ力を磨くためらしい。
ペアワークで、ひとりが一生懸命に自分の体験を話しましょう、もうひとりは目を合わせず、関心なさげに聞いてみましょうとか指示される。
そしてペアで指示通りやったあと、
「話をしている相手が自分の話に興味なさそうに、目も合わせずにいると、どんな気持ちでしたか?」と感想を言わせる。
期待されている答え→「はい、とっても悲しかったです!これからは自分も人の話を聞く時は、ちゃんと目を合わせて、興味をもって聞くようにします!」
こんな茶番に丸一日とか、かけるんですよ。
カリキュラムはとうてい実務の仕事につける内容ではない
これは訓練を受講する前に、ハロワのホームページで確認できることです。私も事前にもう少ししっかりと確認しておくべきでした。
言い訳すると、実際に受講してみないとカリキュラム内容が、どのくらい濃いのか、実務とマッチしているのかというのは分かりづらいです💦
たとえば、わたしが受講したWebオペレーター科なんですが、最初の1ヶ月はイラストレーターとフォトショップの操作方法がメインでした。そして、HTMLやCSSといった私が本当に学びたかったコーディングは2ヶ月めから。Web制作やJava Script、JQueryというプログラミング言語は最後の最後です。
ところが、講義と実技の時間数をみるとHTMLとCSSは30時間強、Java Script 12時間、JQuery12時間ぐらい。こんな時間数では上っ面をなぞるぐらいの浅い内容しか学習できないのは明らかです。
後で聞くと、Java ScriptやJQueryなんて全く意味不明な授業だったとか。テキストを音読して、はい終わりというような。演習もなし。
講師も受講生には理解できないという前提で、とりあえずやっている感じだったらしい。まさに「やりました」と厚生労働省に報告するためだけにカリキュラムにぶっこんでいるだけですね。
民間委託の職業訓練と、都道府県が運営する職業訓練は違う
いちおう断っておきますが、本記事でわたしがボロカスけなしているのは、おおむね3から6ヶ月ぐらいの期間行われる民間委託の職業訓練です。
例えば東京都なら都立職業能力開発センター、大阪ならポリテクセンター関西といった都道府県が運営している学校は、民間委託とはかなり違います。
科目も、電気工事、機械設計、自動車整備などガチの職業訓練で期間も1~2年と長い。授業料や実習費なども少額ながら必要です。
民間委託のお手軽な職業訓練よりは、卒業生はちゃんと就職できているかもしれません。
それでも民間委託の職業訓練を受講するメリットはゼロではないけれど
失業給付の期間を延長したいとか、自己都合で会社を辞めたけどすぐに失業給付をもらいたいという目的で受講するのはありかもです。
でも月曜日から金曜日の週5日、1日6~7時間は拘束されますよ。
1日500円の受講手当、プラス失業手当が目当てであっても、スクールまでの往復時間や教室ですごす時間がもったいないような気もします。
本当に内容が残念ですね。
「訓練生よ、みなさんの雇用保険からこのような職業訓練を受講させてもらってありがたく思え。そしてなるべく早く、どこでもいいから仕事に就け」
学校のスタッフのスタンスが、これですからね。
最後にー私は単に運が悪かったのか
職業訓練良かった!
訓練内容を活かせる職業につけた!
いまでも講師や他の受講生と交流してます!
という人も存在します。だから、私が通った職業訓練校がハズレだっただけ、という可能性はありますね。たまたま無能な講師とアシスタントがいるところを選択してしまったのかもしれません。
ところで現在の職場に、民間委託の職業訓練に3ヶ月通ったという人がいたので、話を聞いてみました。
その人は私とおなじWeb関連のコースでも、基礎レベルではなく実践のプログラミングコースだったそうです。私とは違う学校です。
しかし彼女が体験した内容は、ほぼ私と変わりませんでした(笑)
違いは、実践レベルなので受講生はいちおうWebの基礎はわかっていたということ。講師はテキスト通りに進めるだけで、質問もあまりできない。後半の制作実習では経験者がほとんどこなして、未経験者はぼーっとそばで見てるしかなかったとか。
そして終了時期になると、講師やスタッフからどこでもいいから仕事を決めろとせっつかれるのも同じ。
本人のヤル気さえあれば、きっとスキルは身につくはずというのは真実だと思いますが、民間委託の職業訓練で本気だしても報われない可能性が高いですよ。
独学でコツコツやったほうが、精神衛生上もいいというのが私の結論です。