たとえば幼児が言葉を覚えるように英語を習得するなんてゼッタイに無理です。
理由はシンプル
→ それはあなたが幼児ではなく、大人だからです。
いま英語を習得しようとしているあなたは、おそらく成人してますよね?
うんと若くても10代の人だと思います。
冷静に考えてみれば当たり前のことなんですが…
大人が子供にかえって言語を習得できるはずがありません。
とはいえ英語教育業界においてはネイティブの幼児と同じように勉強していきましょう、なんてサラッと主張している人もわりと多いんです。
「ふむふむ、確かに赤ちゃんはまず母親の言葉を聞いてるだけだな、文法なんて勉強しないよな、音から入ればいいのか、よしっ24時間英語の聞き流しするぞ」
なんてもし納得している人がいるならば、ひとこと言ってもいいでしょうか。
そんなわけないじゃないですかー!
一般的には英語教育が本格的にスタートするのは中学に入学してからなので12才にはなっているわけです。
つまり母国語で思考し、自分を表現することができる状態で外国語の勉強をはじめるのが普通です。
英語学習をこれからする、または今している人の脳はほぼ成熟した大人の脳なわけで、何でもスポンジのように吸収できる未成熟な新生児の脳ではありません。
母国語としての体系を既に身につけた人が、外国語を学習するなら決して「幼児が言葉を覚えるように」すればOKとは思わないでください。
大人には大人の学び方があります
母国語がしっかりとできる状態で英語の勉強を始めるなら、文法の理解はゼッタイに必要です。
ここを間違えないようにしましょう。
「あなたは日本語の文法を知らなくても問題なく日本語が使えてますよね?だから英語だって文法がわからなくても大丈夫なんです!」
などというトンデモ理論に振りまわされないようにしてください。
これ以外にも色々ともっともらしい英語学習方法が提案されています。
・まずは音から入る→ 発音を始めに学習しておくのはいいこと、でもただ英語を聞き流すだけとかはNG
・ネイティブの幼児向けの本、歌で楽しく英語を身につける→ 効率が悪い。そして童話など子供向けの内容を好きではない限り続かない
・文法を考えない→最悪
・日本語で考えたらダメ、英語のままで理解する→ そんなこといきなりできるんですか
こういったトンデモ理論がはびこる理由として考えられるのは…
・英文法嫌いの人たちにとって「文法なんていらない」はとても魅力的
・幼児のように言葉を覚える→ 勉強しなくてもいい感じがウレシイ
・英語を英語で理解する→ なんとなくネイティブ思考が身につくような気がする
という感じでしょうか。
わたし自身、中学から高校にかけて英語が苦手で特に英文法が嫌いでした。
「文法なんて勉強しなくていい」と言われたら小踊りして大喜びするくらいに…
だからトンデモ学習法に惑わされていた過去もあります。そして時間とお金を無駄に使ってしまいました。
わたしの失敗経験からも断言します。
文法や構文などを無視して英語をひたすら聞き続けるとかシャドーイングするとか、ネイティブの子供向け絵本やゲームで楽しく勉強しているつもりでも実際の英語力はほとんどあがりません。
大人の英語学習法とは
まず発音をひと通り学んでから、たいていの人が嫌がる文法の基礎を固めるのが鉄板です。
英文法って本当に気の毒なぐらい嫌われていますよね。わたしもそうだったんですが、英文法の参考書や問題集をやっているとスッキリと理解できない部分があってイライラします。
そして個人的には文法の問題形式にも腹が立ちます。
カッコに適切な単語を入れろとか、指示にしたがって書き換えろとかいちいち面倒なんですよね。
それでも文法をとにかく最初にひと通り学んでほしい理由は
「それが大人がいちばん効率よく外国語を学べる方法だから」です。
たとえばネイティブの幼児向けの絵本などで学習をスタートしたとしましょう。
もしくは英語環境をつくってひたすら英語を聞き流す学習に打ち込んだとしましょう。
そういった学習を1年ぐらい継続した人と、英文法の基礎をサクッと3ヶ月勉強した人を比較すると英語力が高いのはどちらでしょうか。
英文法をサクッと3ヶ月の人の方が「英文法のコンセプト」を体得できているはずです。
そしてザックリでも英文法の基礎があれば、そのあと語彙を増やしてリーディングやリスニングのトレーニングへとすんなり移行できます。
英文法を避けて幼児向けの本やゲーム、英語の聞き流しなどで学習した場合は「ネイティブの音感や語感」などうっすらと体得できるかもしれませんが1年2年かけても英語力としては入り口のレベルどまりになりますよ。
いちばんはじめの発音学習と、英文法の基礎の勉強方法については別記事で詳しく解説していますのでよかったら読んでくださいね。
英文法学習のコツ
参考記事にも書いているので繰り返しにはなりますが、わからない部分に固執しないことです。
英文法の参考書や問題集の解説をいちどに完璧に理解できる人は少ないです。
解説を読んでもモヤモヤしてスッキリわからない事が必ずあるはず。そして嫌気がさして投げ出したくなることも。
そんな時はためらうことなく先に進みましょう。
英文法学習はとにかくひと通り完走することが重要です。まず大きな木としてとらえて次に幹、そして枝葉…という感じで理解していきましょう。
枝葉の細かい法則については最初は理解できなくても、あとになってスッキリわかる瞬間がくることが多いです。
その時が来るのを楽しみに勉強を継続してくださいね。
もちろん周りに英語上級者や教師がいるなら彼らに説明してもらうとか、ネットで検索して不明点を調べることも大切です。
けれども質問できる人がそばにいなかったり、調べてもまだわからないことのほうが実際には多いと思うので
「わからないこところにこだわらず、先に進みましょう」
ところで英語上達へのゼッタイ条件があります
シンプルに学習時間が多ければ多いほど上達します。
ただしトンデモ学習法ではなく正攻法でないとダメですよ。
忙しくてスキマ時間しか使えない、という場合には英語力を目に見えて引き上げるのはぶっちゃけ難しいと考えてください。
すでに中上級レベルに達している人なら1日10-15分ぐらいの短時間しか勉強できなくても英語力をキープするという意味で少しは効果があるかもしれません。
しかしいちから基礎をやり直す必要がある人の場合、週に10時間は最低でも確保してほしいところです。
大人の英語学習ではモチベーションを維持するために上達を実感できることが大切です。
上達の実感に必要な学習な時間は個人差はありますが、だいたい100から150時間ぐらいと考えてください。
週に10時間ペースで3ヶ月ぐらいですね。
最初の3ヶ月を乗り越えて、上達を実感するという成功体験ができればしめたものです。
ただ完全な独学だと自分で英語力の伸びがよくわからないかもしれませんね。
その場合はTOEICや英検などの試験を定期的に受けるとか、ペースメーカーとしてスクールやオンライン英会話など利用した方がいいと思います。
最後に、大人が英語力をつけるのに特別なメソッドや才能は必要ありません。
トンデモ学習法は魅力的に思えるかもですが、英語の勉強はオーソドックスな方法でクールに取り組みましょう。