もし正社員ではなく派遣社員として働いている人で翻訳や通訳の仕事に興味があるなら英文事務で就業してみましょう。
英文事務のハードルはそんなに高くありません。求人詳細をみると、だいたいTOEIC500から600ぐらいの人を募集しています。
なんとか頑張ってTOEICを600前後にまであげてから、英文事務の仕事にトライしてみてください。
就業後も英語力をさらに上げるように勉強も続けつつ、誠実に仕事をこなして就業先の社員さんと信頼関係を築きます。
わたしの知っている限り派遣社員での「英語を使用する仕事」ってわりと暇です。
別記事に詳しく書きましたが、「社内ニート」になったこともあります。
社内ニートになってしまった時は、さすがに耐えられずに短期間で退職しましたが経験ではだいたい4時間でできる仕事を8時間かけてするような職場が多かったです。
(そのぐらいの仕事量だと、なんとか我慢して続けることができました…)
そういったゆとりのある職場だったらヒマな時間を使って、業務で使用しているマニュアルや資料などを翻訳してみましょう。
上司に「時間の余裕があるときに、ここでの業務を理解するためにも有効なので翻訳してみていいですか?」と許可をとればOKです。
よほどの事がないかぎり、「そんな事しなくていい」とは言われません。
もちろん英文事務の業務が忙しくていっぱいいっぱいな状況でそんな提案はするべきではないですが、ヒマな職場であれば大丈夫ですよ。
社員さんからも、
「時間をもてあましている、なにか仕事をくれ」
と言われるより、自主的に
「業務への理解を深めたい」「英語のスキルをもっと高めたい」
ので翻訳してみたいと訴えるほうが好感をもってもらいやすいと思います。
さらに日頃から「通訳や翻訳の仕事に興味がある」とアピールしておくのもいいと思います。
わたしは最初に英文事務で就業した外資系の医療機器メーカーで、翻訳も通訳も経験しました。全くの未経験でしたが、英語力は帰国してまもない頃だったので今より高かったかもしれません。
はじめは英文のデータを入力したりファイリングをしたりという、「英語を少し使用する事務」という単調な仕事内容でした。
なれてきた頃にヒマだったので上司が毎週出席してるアメリカ本社と日本の技術者との電話会議に同席させてもらいました。
そこで話される内容は既定事項の確認だったため、上司は英語ができませんでしたが特に会議の内容を聞き取れなくてもいいというスタンスでした。
ただ出席して座っているだけだったんです。(何というムダな時間)
「だいたい内容は聞き取れるので、もしよかったら通訳しましょうか」
と申し出たところ、
「えっ、そうなの?通訳がとなりに座って訳してくれるなんて光栄だな」
と快く許可してくれました。
当時はまだ通訳学校にも行ってなくて、不完全でアバウトな通訳だったとは思いますがそれなりに経験を積むことでなれていきました。
上司もだんだん乗ってきて、会議の前にあらかじめアジェンダや資料をくれたり会議後に内容をわたしが要約したものを添削してくれたりしました。
さらにアメリカ本社から送られてくる英語の社内報も
「これ翻訳していいですか?」
といって翻訳させてもらいました。
部署の社員さんに翻訳したものを「ご参考までに」とメールで配信したら「これからも毎月お願い」と言ってくれました。
そしてつぎの派遣先にいくときには「通訳、翻訳経験あり」で「英文事務」よりも通訳翻訳の比重がたかい仕事に就くことができたというわけです。
とにかく翻訳や通訳の必要があるかないかは関係なく、やったもん勝ちという勢いでの行動でした。
特に翻訳については、TOEICスコアよりも経験を重視される傾向があるので英文事務で就業した先でなにか書類の翻訳をしておくといいと思います。
わたしはどの職場でも「翻訳や通訳の経験をつみたい」ということをさりげなくアピールしていました。
飲み会などがあれば参加して、そこでも「翻訳してほしい資料とかあったら何でもやらせてください!」と話したりもしました。
すると別の部署の社員さんや技術者にも話してくれて、そこから翻訳を依頼されるきっかけも作ってくれたのです。
ところで、わたしは就職氷河期世代です。
高校卒業後、アメリカに留学し5年かけて無名の州立大学を卒業
→帰国後なかなか就職先が決まらず派遣社員としてようやくフルタイムの仕事にありつく
→以後、派遣や契約社員として様々な企業を英語屋として転々とする
→17年が経過 現在はフリーランスで翻訳 今ココ!
実はそろそろ卒業(2000年)という頃に、日本の親しい友達から
「いま日本ヤバイよ、みんな全然仕事決まらないし。アメリカで就職したら?」と真剣にアドバイスされました。
わたしとしてもせっかくなのでアメリカで仕事をしたかったのですが家の事情で帰国せざるをえなかったのです。
帰国後、いくつかの正社員募集に応募しましたがいずれも門前払い。しかたなく派遣社員として働き始めました。
終身雇用制度はもう崩壊してるし、なかにはブラック企業もあるし、倒産するかもしれないし、給料は安くボーナスないかもしれない。
正社員であっても今の時代は安心とはいえません。
それでもなお、派遣や契約社員のような非正規よりも正社員として働くほうがメリットはあると思います。
正社員の社会的地位は高く、任せられる仕事もより重要で管理者へとスキルアップしていける可能性があるからです。
残念ながらわたしは正社員にはなれませんでしたが、そのかわり非正規雇用であるメリットをなるべく利用してここまできました。
未経験から翻訳や通訳の経験をさせてもらい、それをもとに仕事内容のレベルアップをこころがけてきたのです。
将来は起業する、フリーランスになる、と決めたうえで派遣社員として働くのもいいと思います。比較的自由な立場をせいいっぱい利用するようにしましょう。
ちなみに現在は在宅で翻訳をしていますが、翻訳会社からだけではなく以前派遣で就業していた会社からも仕事を受けています。
派遣期間が終了して会社をやめるときに
「もし翻訳を外注することがあれば、わたしに依頼お願いしまーす」と冗談のようにいっていたら、本当に依頼してくれました。笑
こういったラッキーなこともあるので派遣社員も捨てたものではありません。
わたしが派遣先でいろいろチャレンジさせてもらえたのは派遣社員だったからともいえますよね。もし正社員だったら、原則として人事の決めたルートでキャリアを積んでいくしかありません。
ちょっと翻訳してみたい、なんていっても
「いや、君は事務職だから」
で終わりじゃないでしょうか。(小さな会社やベンチャー企業などは別かもしれませんが。)
正社員ではないけど英語を使用した仕事をしたい、翻訳や通訳を未経験だけどチャレンジしたいという人たちの参考になれば幸いです。